シリーズ鹿児島の名山
1.開聞岳
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概念
 開聞岳は、標高922mのきれいな円錐形をした秀峰である。別名を薩摩富士。深田久弥著の「日本百名山」にも挙げられている。1000mに満たないこの山を日本百名山とした深田久弥氏の選択基準の幅広さに感服する。私は百名山を全部登ろうとは思っていないが、すでに百名山を40座近く登っている。その中でも開聞岳のユニークさは抜群だと思う。
 海にせり出す秀峰。そして螺旋状に登るユニークな登山道。登るにしたがって変わる風景。どこから見ても見飽きないその山容の美しさ。どれをとっても素晴らしい山である。

アプローチ
 アプローチは種々考えられるが、鹿大山岳部流に行くなら自転車をお薦めする。鹿児島市内から片道約3時間半。よって一泊した方が余裕を持って行け楽しい。日帰りも気合を入れれば行けないこともない(私は日帰りをしたことがある)。宿泊地は池田湖周辺か開聞岳山麓のキャンプ場がよいと思う。前者はゲリラ(指定地ではない)、後者は有料である。
 いきなり変なことを書いてしまったが、鹿児島市内に住んでいない人や自転車で行く時間もない人もたくさんいると思うので、標準的な行き方を書いときましょう。
マイカー利用
 一般的な行き方としてはマイカー利用が絶対便利。鹿児島市内から国道利用で約1時間半。指宿スカイラインを利用すれば有料だけどもう少し早くなるはず(有料道路なんか利用したことがないので私は知らない)。自動車利用が最も早く、交通費が安い。東京などからの遠方の人もある程度お金があるのなら鹿児島空港でレンタカーを借りた方が機動力を活かして快適な旅になるだろう。車があれば、帰りに指宿で砂風呂に入ったりできる。圧倒的に便利だ。
JR利用
 あんまり便利ではないけど列車を使う山旅は面白い。ここで覚えておいて欲しいことは開聞岳山麓を走る指宿枕崎線は、山川以南は極めて便数が少ないと言うことだ。まず東京付近の3分に一本電車が来るといったことを連想してはいけない。1時間に一本どころか昼間の時間帯は3時まで6時間、全く列車が来ないのだ。朝夕の3本ずつ、片道1日6本の列車しか通っていない。極めて山川〜開聞の間は不便だと言うことを理解していて欲しい。
 私がJR利用で開聞岳へ行くとすれば、朝5時13分ごろ最寄の郡元駅発の始発便で行く。この便だけが山川より先の枕崎行きに山川駅で接続している。これより遅い便ならば山川駅でバスに乗り換えないといけない。これは時間がかかるだけでなく、料金も多くかかる。始発便だったら朝7時には登山口の開聞駅に到着する。
 登る前に帰りの便をチェックしておこう。多分、14時過ぎまでバス、JRともに便はないはずだ。朝7時半に出発すれば14時までに降りてくるならかなりゆっくりの行程になる。
 鹿大山岳部流なら帰りは山川か指宿までヒッチハイクですね。ヒッチハイクの場所は、一本先のコンビニのある通りでやるか、池田湖方面の道路に立ってやるのもいいかも。登山口の駐車場で登山帰りの人に乗せてもらうという手もあるなあ。ウェイティングタイプのヒッチがお好きなら前者、ハンティングがお好きなら後者かな。

登山行程
 登山口は、麓の開聞駅から歩いていくルートか山麓の公園から入るルートがある。山麓の公園から行った方が2.5合分だけ徳をする。ここでは開聞駅から説明しよう。
 開聞駅を降りて大きな道路を右に(開聞岳を背にして右)行く。信号があり右折すると踏み切りがある。食糧や水がなければこの信号を右折せず左折すれば信号のところにコンビニRICがある。ここにパン、弁当、ジュースに酒までそろう。山頂でビールを飲みたいならここで買って行こう。コンビニと言っても営業時間は朝7:30〜夜11:00までなので注意しましょう。
 踏みきりを渡って車道の急な坂を登っていきます。民家が途切れ、しばらく進むと左に開聞中があります。中学生が「おはようございます」と挨拶してくれてとてもいい感じです。少し行くと左手に神社があります。岩屋があってそこは修験者達が泊まっていたらしいです。この辺はあまり詳しくないので次に行ったら調べときます。
 スキー場が見えてきます。鹿児島に雪のスキー場はありません。もちろん草スキーです。ガラガラとキャタピラーみたいなスキーを履いて滑っています。転んだら痛そうです。
 車で来た人は、まっすぐ行かずに右奥のキャンプ場の方に登山者用の駐車場があります。上の駐車場は草スキー場専用です。
 草スキー場を左に見ながら登っていきます。突当りに看板があり2合目です。ここから山道になります。車できた人はこの入口で準備体操をしましょう。特にアキレス腱はよく伸ばしておきましょう。登り一辺倒な山なのでいきなり登り始めると危ないです。
 歩き始めると砂礫の道が続きます。道が横断すると2.5合目です。左からの道が前述の公園からの道です。この分だけ公園から来た人は得するわけです。どんどん登りが続きます。3合目を過ぎ、4合目と滑りやすいザレた小石の道が続きます。5合目にはちょっとした広場があり木々の間から長崎鼻の展望が開けます。
 6合目から大きな岩の道に急に変わります。このような岩質の相違は開聞岳が1回の噴火でできたのではなく、数回の噴火に分けてできた複式火山であるからであると私は考えているのですが…。6合目の手前から明らかに岩質が変わっているのは事実です。もし登ったときは確かめてください。
 7合目より灌木帯になり海が見えてきます。ゴロゴロした岩の上を渡るように歩いていきます。仙人洞の看板のところで再び樹林の中に入ります。樹林の中を進みます。9合目を過ぎると急な岩場に階段がついています。補助の綱を持ちながら慎重に通過します。左手には枕崎にのびる美しい海岸線。池田湖も見えてきます。急な積み重なるような岩を登っていくと山頂はすぐそばです。樹林の中に1度入り、もう一度開けるとそこが山頂です。
 岩の上でみんな休憩しているので場所を見つけて休みましょう。山頂は窪地になっていて御鉢巡りもできるようですが道がイマイチはっきりしません。山頂からは枕崎、野間岳、金峰山、鹿児島市、桜島、霧島、高隈山、大隈半島などが見えます。海の方に天気がよければ屋久島も見えるらしいのですが、私は10回以上この山を登ってまだ1度も見たことがありません。逆に屋久島から開聞岳を見たことは何回もあります。多分、逆光になるからだと思うのですが、不思議です。ちなみに屋久島と同じ方向で近くに見える、山が海中から突き出したような島は、硫黄島、その隣の平たい島は竹島です。山頂でその島を屋久島、種子島だといって喜んでいる人がいても相手にしないようにしましょう。注意したらケンカになるかもしれないし…。硫黄島と竹島の更に奥に山だらけの島があればそれがまさしく屋久島です。今度、私も確認しに行こうと思います。
 山頂から下りの道は、また来た道を下ります。下る前に靴紐を閉めなおしたほうがいいでしょう。長い下りが続きます。岩が濡れている時は滑りやすいので気をつけましょう。6合目から下の砂礫の道は更に滑りやすいので気をつけましょう。延々続く下り道に飽きた頃に登山道に着きます。
 所要時間は上り2時間30分、下り1時間30分と言われています。これは個人差が大きいので、体力のない人は30分増しぐらいに考えてください。(文責・西村)
牧聞神社 草スキー場横から
2合目登山口 2.5合目
3合目 4合目
登山道 6合目
7合目 7合目からの眺め
登山道 仙人洞
仙人洞 9合目
山頂直下からの眺め 山頂直下からの眺め
山頂からの眺め 開聞岳山頂
山頂からの眺め 大谷の岩場
麓の駐車場 麓の駐車場
麓のソラマメ畑

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