シリーズ鹿児島の名山
3.霧島韓国岳

えびの高原(シカ) えびの高原出発 えびの高原から韓国岳 大浪池登山道 大浪池登山道2 大浪池
大浪池から韓国岳 韓国岳への急登 韓国岳山頂 韓国岳の火口を望む 韓国岳山頂付近 霧島連山のやまなみ
韓国岳から獅子戸岳へ 韓国岳から獅子戸岳へ2 獅子戸岳ヘ 獅子戸岳の登り 獅子戸岳山頂 新燃岳
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霧島韓国岳

概念

 韓国岳は標高1700.3mの霧島連山の最高峰である。その名は、遠く朝鮮半島、韓国まで見渡せるということから韓国岳(からくにだけ)と名づけられた。もちろん、どんなに頑張っても韓国岳山頂から朝鮮半島は見えない。
 韓国岳は、南側から見ると台形に見えるが、反対のえびの高原から見ると二つのピークが並んだような山に見える。その理由は、えびの高原側の山腹から爆発的な噴火があり火口の一端が切れて現在のような形になったという。
 火口には火口湖はないが、記録的な大雨が降った年には2〜3ヶ月だけ火口湖が姿を現すという。1993年の鹿児島8・6水害の年には火口湖が出現したという。
 冬場は、積雪があり、霧氷がきれいな山としても有名である。
 日本100名山登頂ツアーではえびの高原から韓国岳往復、バスで移動して高千穂河原から高千穂峰往復という日程でよく登られるらしい。その翌日、開聞岳という日程が定番らしい。
 霧島連山の中では、高千穂峰と韓国岳の人気が高い。高千穂峰と比べると山容は美しさでは負けるが、高さでは圧倒的に韓国岳に軍配が上がる。韓国岳は、何度登っても素晴らしい山である。

登山ルート
 韓国岳のみを登ろうとするならばえびの高原から直接韓国岳に登るのが一番楽で一般的である。ここではえびの高原から大浪池経由で韓国岳へ登るルートを説明する。
 えびの高原から直接登るルートより、人が圧倒的に少なく静かな登山が楽しめる。大浪池から韓国岳へ直登するルートは、4、5年くらい前まで雨による歩道の侵食で荒れて難路だったが、近年木製の階段が完成して格段に登りやすくなった。その代わり、木製の階段が連続しすぎて単調な登りが続き退屈してしまうようになった。
 韓国岳へのルートとして主に考えられるルートとしては、次のプランが考えれれる。
  1. えびの高原→韓国岳→えびの高原
  2. えびの高原→韓国岳→獅子戸岳→新燃岳→中岳→高千穂河原
  3. 高千穂河原→中岳→新燃岳→獅子戸岳→韓国岳→えびの高原
  4. 高千穂河原→中岳→新燃岳→獅子戸岳→韓国岳→獅子戸岳→新燃岳→中岳→高千穂河原
  5. 御池→高千穂峰→高千穂河原→中岳→新燃岳→獅子戸岳→韓国岳→えびの高原
  6. えびの高原→韓国岳→獅子戸岳→新燃岳→中岳→高千穂河原→高千穂峰→御池
  7. 高千穂河原→中岳→新燃岳→獅子戸岳→韓国岳→えびの高原→大浪池→韓国岳→獅子戸岳→新燃岳→中岳→高千穂河原→高千穂峰→高千穂河原
 以上のようなプランを私は試したことがある。1番以外は、すべて新燃岳、獅子戸岳を縦走していくプランである。単純な往復よりも縦走のようなプランがやはりおもしろい。宿泊場所はえびの高原か高千穂河原しかない。
 2と3は車がグループで2台あるような場合は、えびの高原と高千穂河原に一台ずつ置いて交差縦走するのもおもしろい。その時は、交差したとき車の鍵を必ず交換するようにするようにしないといけない。

コース説明
(えびの高原→大浪池→韓国岳→獅子戸岳→新燃岳→中岳→高千穂河原)

 えびの高原より歩き始める。えびの高原までのアプローチは、西鹿児島駅から1日1便だけ直通でえびの高原まで通っている。2000年12月16日現在、10:09西鹿児島駅発→11:45えびの高原(ダイヤが変わるかもしれないので乗る前に調べてください。)
 大浪池への登山道はバス停から少し道を戻ったところにある。道標があるので登山口はすぐ分かる。平らな疎林の中を登山道が通っている。なだらかな傾斜で大浪池の直下のコルまで続いている。所々、階段がつけられとても歩きやすい。
 大浪池西回りの道標があるので荷物が重ければここに荷物をデポして大浪池を見に行こう。だいたい10分ぐらいで大浪池の展望台につく。大浪池は火口湖で、周りを断崖に囲まれており、湖面は濃青色をしている。火山の硫化物イオンの影響で濃青色に見えるらしい。
 大浪池の景色を堪能したら、再びコルに下ろう。荷物を回収したら韓国岳へ登る。20メートルぐらい先に分岐がありここには避難小屋もある。左へ折れると、ここから韓国岳山頂へ一気の急登である。登山道には階段がつけられている。上を見上げると延々と続く階段に気が滅入るので、あまり上は見ないほうがいいかもしれない。後ろには大浪池が見えるが湖面が見えない間は、山頂はまだまだ遠い。右に高千穂峰が見えてきて同じ高さになってくるとさあもう少し、頑張ろう。ガレを右に渡り、再び階段を進む。最後はガレた斜面を登っていくとやっと韓国岳山頂である。
 山頂からは、高千穂峰方向の霧島連山のやまなみが素晴らしい。高千穂峰がひときわ美しく見える。右に視線を移すと桜島も遠くに見える。
 下山は、韓国岳のみを登るのであれば、えびの高原へ直接下るほうがいいだろう。普通の人は、今登ってきた道を下山路に使う人が圧倒的に多いようです。
 ここでは高千穂峰まで縦走してみよう。韓国岳からの左回りに5分ほど火口を回っている。ガレにさしかかるとここからが厳しい下りである。ガレ場は滑りやすいので十分気をつけよう。ガレ場が終わると深くえぐられた登山道を下っていく。地面が濡れているとここも滑りやすい。ここも気を使う。なるべく侵食溝には入らないように行った方がいいみたいである。枝道が左右にたくさんついている。左に火口(琵琶池)が近くになってきたら傾斜が緩くなる。疎林の中をしばらく進む。次の獅子戸岳は丘のような山であるからガレ場の登りを登り切るとあっという間に山頂につく。獅子戸岳山頂は分岐になっており左へ折れると大幡池方面の道である。この分岐は直進する。
 獅子戸岳の下りは岩がゴロゴロして不安定だ。捻挫しないように十分気をつけよう。下り切るとコルで再び分岐である。右へ行くと新湯温泉へ下る。左は皇子の方へ下る道である。ここも直進する。新燃岳への登りは樹林の中を登っていく。ここはその日の調子によって長く感じたり短く感じたりする。樹林から草原のようなところに出ると新燃岳の火口の縁に出る。晴れた日には、眼下にエメラルドグリーンの小さな火口湖が見える。新燃岳というだけあってまだ一部で小さな噴気をあげている。硫黄臭い火山ガスのにおいがすることもある。登山道は火口の縁を約半周弱するようにつけられている。最後に小さな登りがあって標識のある新燃岳山頂に出る。地形図を見ると岩峰のようなピークではなくて標識のあるところに三角点があるようだ。
 標識から左にほぼ直角に折れる。木の階段がつけられた登山道を下っていく。ここはとても下りやすく快適である。こちらからだと中岳へは本当にあっという間に登れる。中岳は草原状になっており、道を進んでいくと看板があってそこから高千穂河原への下りである。
 階段で整備されているが、一部には岩場のようなところもある。登山道が整備され、昔よりは断然登りやすくなった。一部、コンクリートで石を固定したり、階段になっている場所もある。急な下りを下り切ると台地に出てくる。この辺はミヤマキリシマの名所としても知られている。3本の観察路があり、6月のミヤマキリシマのシーズンはすごい人出になる。
 石畳の道を下っていき、灌木の樹林から杉林になると高千穂河原に飛び出し、ここで縦走は終了する。もっとやる気のある人は高千穂峰を登ったり、更に高千穂峰を越えて御池まで行ってみるのもよいだろう。

参考タイム えびの高原→(60分)→大浪池分岐→(10分)→大浪池展望台→(5分)→大浪池分岐→(65分)→韓国岳山頂→(60分)→獅子戸岳→(50分)→新燃岳→(30分)→中岳→(50分)→高千穂河原
注意:体力、天候、装備、その他の理由により参考タイムは大幅に変わってきます。登山の際には、余裕を持った計画を立ててください。

備考:プレ冬合宿で調査。韓国岳と獅子戸岳の間でビバーク訓練を行った。
2日目は雨のため視界が悪く、写真が撮れなかった。獅子戸岳、新燃岳、中岳付近は次の機会にもっと詳しく取材したい。

取材:2000年12月16日、17日
取材協力 G.Watanabe T.Sioya M.Takenouchi
写真・文章:M.Nishimura

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