大隅半島 甫与志岳 岩屋川右股遡行

メンバー 
松本俊介(鹿児島大学山岳部桜岳会)、渡辺剛士(鹿児島大学山岳部5年)、竹之内真人(同4)、黒岩聖也(同1)
山域
鹿児島県大隅半島・肝属郡高山町−内之浦町境界甫与志岳西面・岩屋川
地形図
二万五千分の一「上名」

掲示板で松本OBが「大隅の沢やらない?」と誘ってきたので、来週に屋久島の黒味川を控えた現役3人は前哨戦ということで急遽大隅の沢をやることに決定。しかし、台風で垂水フェリーが夕方まで欠航しヤキモキさせる。夕方過ぎに通常ダイヤにもどり、現役三人は何とか大隅半島上陸。5日は松本宅でお世話になる。

2003年9月6日(曇り)
8:50入渓 9:05間違えて支流へ 9:30本流へリカバリー 10:10ゴルジュ入り口 11:15上部二股(4段50mF上部) 12:35コル 13:00甫予志岳 14:50林道  16:05車

 五時起きのはずが寝坊し慌てて出発。コンビニに寄るのを忘れて、途中の酒屋で賞味期限切れのパンの山からなんとか安全な奴を選んで購入。小学校の前を左に曲がって岩屋集落へ。集落に架かる橋を渡り林道をどんどん上がる。営林署の封鎖まで進む。車から降りてしばらく林道を歩き、『疱瘡洞窟 歴史探索』なる看板があったのでそこから入渓。沢は二股状で、勘違いして右に進むがこれはただの支流だった。すぐ本流へ戻り、しばらくナメ滝で滑り台ごっこをして遊ぶ。飽きたので進むと砂防ダムが出てきた。これを越えると今度こそ二股だった。右股に進む。
しばらく進むと浅いゴルジュとなるが、問題なし。二枚のスラブがV字に出合い樋状の滝を形成しているところが最高に面白かった。黒岩が二回も樋の中を流され一同爆笑。特に二回目は、あと一歩で安定したスタンスというところで焦ってスタンスを手で取りに行き、進退窮まって何か言いながら流されていった。どんどん小さくなっていく彼にどうすることも出来ない俺たちは、腹の底から笑うしかなかった。下がゆるい淵なので安全だが、三度目となるとやる気を無くす恐れがあったのでシュリンゲを連結し引っ張り上げる。以降もほぼ沢通しに進むが、15mほどの直瀑は右手から小巻き、最後は滝の肩へ2m大ジャンプ。技術はいらないが勇気が要る。上部二股手前の4段50mがハイライト。左岸側をシャワークライムを交え登るが最後は高度感に負けて藪に逃げる。以降は特に難しい所もなく忠実に沢を詰める。崩壊地でイバラのジャングルと化しているのに閉口したが、うまいこと避けて稜線へ。
踏み跡をたどり甫与志岳山頂。曇っていて展望は良くないが気分はいい。ラーメン食って下山開始。ほんの少しだけ戻った分岐から岩屋集落方面へ下る。下山で結構疲れる。 
なお、遡行図は『九州の沢と源流 改訂版』(吉川満著、葦書房)の物を用いた。
(文:渡辺)