2002年度春甲斐駒ヶ岳黒戸尾根〜仙丈ヶ岳
2002年度春山合宿 南アルプス甲斐駒ケ岳黒戸尾根〜仙丈ケ岳 期間:2003年3月4日〜14日 メンバ−:CL渡辺(4) SL竹之内(3) 渡嘉敷(2) 松田(1) 共同装備・食料:食料13日分(実働8、予備5)、ダンロップ6人用テント、冬用外張り、ザイル(9ミリ50メ−トル)、スノ−バ−、デッドマン、アイスハンマ−2本、ハ−ケン3本、2Lポリタンク2本、シュリ ンゲその他 【行動表】 4日 部室〜西鹿児島駅〜宮崎(フェリ−) 5日 大阪駅〜名古屋〜松本〜日野春駅〜横手駒ケ岳神社TS 6日 入山日 〜登山口(約800)〜1628小ピ−クTS 7日 沈殿 8日 〜八丁坂〜前屏風の頭(1881)〜刃渡り〜ハシゴ帯〜刀利天狗(2049)〜五合目小屋TS(2150) 9日 〜屏風岩〜七丈小屋TS(2360)⇔八合目まで荷揚げ 10日 〜八合目鳥居(2670)〜甲斐駒ケ岳本峰(2967、上げ荷回収)〜駒津峰(2750)〜仙水峠へ下る途中の約2400M付近TS 11日 〜北沢峠(2030付近)TS *設営後、雪上訓練 12日 〜大滝の頭TS(2500付近) 13日 〜小仙丈ケ岳(2855)〜仙丈ケ岳(3032)〜小仙丈ケ岳〜大滝の頭(テント回収)〜北沢峠〜丹渓山荘 14日 下山日 〜戸台川より戸台へ下山 【行動記録】 3月4日 西鹿児島駅〜宮崎駅〜フェリ− みんなに見送られ西駅を発つ。フェリ−で合宿前最後の風呂を味わう。 (松田) 3月5日 大阪〜松本〜日野春〜横手駒ケ岳神社 いまいましいJRの旅が続く。松本ICIでは、色々な装備を買う。日野春駅から神社ではタクシ−にて移動。神社下の駐車場にてテント泊(渡嘉敷) 3月6日 晴れ (4:30)起床−(6:30)出発−(11:30)登山道合流点−(12:50)TS(1628mピ−ク) おのおの朝食を食べて出発。日影に雪がある程度でサクサク進む。二時間くらい歩いていると夏道にアイスバ−ンがあり皆つるつる滑っていた。横手と竹宇の合流点直下の急登は下部で落葉、上部でゴジラ落しに苦しめられた。それ以降は膝下までのラッセルでテント場についた。(竹之内) 3月7日 曇りのちみぞれ 沈殿 前日の天気図と天気予報から雨が降りそうだったので沈殿としたが、以外にも昼まで天気は持った。結果論とはいえもったいないことをした。この日以降、毎日テントポ−ルを抜くのに苦労することに・・・。(渡辺) 3月8日 晴れ (3:30)起床−(6:00)出発−(11:00)刀利天狗−(15:00)五合目小屋上TS 昨日のみぞれでテントポ−ルが凍ってなかなか抜けなかったため出発が遅れる。半分埋まりかけたトレ−スを追う。刃渡りは風が強く渡辺がトップで行く。ザイルを出さなかったが必要であったと思う。ハシゴ帯は慎重にスタンスを作りながら進む。1〜2箇所ハシゴが完全に埋まり雪壁になっているところがあった。刀利天狗で一息つき再び歩き出す。刃渡りより前でトレ−スは消えていたのでラッセルである。黒戸山の巻きは思った以上に長く感じ、疲れた。五合目小屋は雪に埋まっていたので外でテントを張る。松田は小屋に入りたかったようだ。(竹之内) 3月9日 晴れ (4:00)起床―(7:10)出発―(11:00)七丈小屋前TS−(11:45)荷揚げ開始−(14:00)荷揚げ帰還 この日もパッキングが遅れる。五合目小屋のやや上に張った(鹿大の)テントから、短いはしごが2箇所見える。出発。前日の社会人3人がつけたトレ−スがついており、はしごも無難に抜ける。トレ−スがなくても厳しくはないだろう。1つ目のピ−クを越え二つ目を目指す。もろそうなハシゴを登った後、クサリ場に出た。フルボッカでは危険ということで渡辺がトップ、竹之内がビレイヤ−でザイルを出す。ザイルを出してもらうとすごい安心する。クサリ場のスタ−ト地点(のちょっと上)にはボルトが打ってありセルフビレイには役立つ。クサリ場を抜ければ後は七丈小屋に歩くのみ。七丈小屋についてからは荷揚げ隊(渡辺・竹之内・松田)とその他(シェラフ乾燥、テントポ−ル手入れなど)をする者(渡嘉敷)に分かれる。小屋の管理人からスパゲッティ14人分、ソ−ス9人分をもらう。(渡嘉敷) 3月10日 晴れ (3:00)起床−(5:40)出発−(7:10)八合目− (8:10)九合目−(9:10)甲斐駒ケ岳本峰−(11:30)六方石のコル−(12:20)駒津峰−(14:00)TS(2400M付近) 3時に起床し、僕はいつも通り朝飯の準備をする。外は快晴のようで本峰アタックに向け気持ちが引き締まる。5時前にテントの撤収(ポ−ル)に手間取る。みんなでシコシコ。日が上がりかけた5:40出発。1ピッチ登ったところで日が上がり、小屋から僕ら四人が見えているはずである。小屋のおっさんに笑われたなこりゃ。8:10に八合目の鳥居に着きデポ品をザックに詰める。ここから岩々してきて緊張。九合目直前のクサリ場は、心臓バクバク。9時過ぎ、思ったより早く頂へ。写真をとり、下山開始。下る途中、松田ひっくり返る。下山はル−トを探すのが大変で時間を食う。11:30六方石に着く。ここから見る駒津峰は疲れのせいかやけにデカイ。しかし、登ってみると意外と楽だった。そこから仙水峠へ向け一気に下る。(松田) 3月11日 晴れ (3:00)起床−(6:00)出発−(7:00)仙水峠− (11:00)北沢峠 相変わらず出発が遅い。仙水峠からは雪崩に注意し、間隔を空けていく。嫌な感じはしたが雪崩れそうではなかった。新雪の後などはちょっとイヤだと思った。長衛小屋からは砂防ダムがうっと−し。林道にあがる道が分からずてきとうな尾根を登り林道に出る。北沢峠で皆シェラフを干した(注:この後トカと松の二人に埋没訓練を行なう。カワイソ−)。(竹之内) 3月12日 晴れ (4:00)起床−(6:00)発−(10:00)大滝の頭付近TS ゴ−ルデントレ−スを追い大滝の頭へ。はあ〜ボッカしに来たのか?なんで3月にトレ−スがあるねん。前日の「恐怖ペミカン2食一気」で胃がおかしい。屁がくさすぎる。あっという間に大滝の頭。マサトと二人で小千丈直下のやばそうな斜面を偵察しに行く。幸い、ここから先のトレ−スはほとんど消えている。間近で見てもやばい斜面だが、雪質は安定している。新雪後や午後は通りたくね−な。さっさとテントにかえって近くに便所穴掘ってウンコ。いわゆる「ありえない」臭さだ。胃腸薬を持ってくるべきだった。翌朝のためにかなり深い便所穴を掘ったのに、この後同じ穴を使用した渡嘉敷が埋めてしまい、翌朝寒い思いをする。(渡辺) 3月13日 晴れ (3:00)起床−(4:40)出発−(5:50)小千丈ヶ岳−(6:55)仙丈ケ岳−(8:30)TSへ帰還−(11:15)北沢峠−(13:40)丹渓山荘 出発からアイゼンでいく。予定通り、薄明るくなってきたところで例の斜面の基部に到着。キックステップ気味のフロントで瞬殺を狙い突っ込む。息が切れようが何をしようが、こんな斜面で立ち止まるわけにはいかない。狙いどおり瞬殺。意外と角度があって、一度左上し、尾根っぽいころを上がった。以降、マサトにトップをゆずりチンタラついていく。時々ズボる程度で概ねクラストしているとのこと。一部細いところもあるが問題なし。夏道が露出していたが、それを使用することによって余計危ないようなところはキチッと避けた。うむ。仙丈で写真をとり下山開始。例の斜面は一人づつ。俺がトップで行く。先に下って見ているとそれぞれの歩行技術がよく分かる。TSに帰って、休憩後撤収。渡嘉敷・松田も俺のウンコの臭いには参っていたようだ。北沢峠からは、国道並みのトレ−スに感謝し、どりゃ−と下って丹渓山荘へ。最高のRFによるトレ−スに皆感心した。丹渓山荘はすでに運営を放棄された小屋だが、充分使用に耐え得る状態で、ありがたく使わせていただく。小屋に上がるハシゴの辺が凍り付いていて、この日一番危険だった。(渡辺) 3月14日 曇りのち晴れ (4:00)起床−(5:00)出発−(8:40)戸台大橋 ゴ−ルデントレ−スをひたすらたどって戸台大橋まで行く。林道だるい。(渡嘉敷) ル−ト状況 ・ 刃渡りは、条件さえよければ何てことないが、今回は風が強く雪も多かったので、ザイルを出すべきだった。そのすぐ後のナイフリッジもやや微妙だった。 ・ 刃渡り後のハシゴ帯も、パ−・ ティの力量やトレ−・ スの有無によってはザイルがいる。ハシゴはトレ−・ スの有無により難易度が全然違う。 ・ 黒戸山トラバ−・ スはだるい。 ・ 五合目小屋周辺はいいTSではなかった。 ・ 屏風のハシゴ場も先述と同・ 様。クサリ場が雪壁状になっていたので1ピッチ出した。 ・ 九合目(剣の刺さった岩)直下で、そんなに急ではないが落ちたら終わり的雪壁があったが、トレ−・ スを利用し処理した。トレ−・ スがなければザイルを出すべきとこだった。 ・ 本峰からの下りはRFが難しい。迷い込みはちゃんと地図見てれば大丈夫だが、岩や段差に阻まれることが多かった。 ・ 六方石コルへのラストの下りで、大岩を左手から小巻き気味に下ったが、ここは三年前渡辺がハマッたところで、要注意。 ・ 六方石コルは、本当にいざという時なら張ってもよいと思う。 ・ 駒津峰までの登りは快適な雪稜。 ・ 小屋の管理人に「・ 双子山から下ると迷いやすい。仙水峠の方がいい」・ とアドバイスを受け、事前計画でも「・ 余裕がない場合は仙水峠へ下る」・ としていたので仙水峠に下ったが、夏に通っていたのでRFは完璧。TSもかなりよかった。 ・ 仙水峠から仙水小屋までは、嫌な感じ。新雪後は行きたくない。 ・ 北沢峠まで砂防ダムがうざい。 ・ 北沢峠は積雪期でも幕営禁止らしい。次回からは長衛小屋前に張ろう。 ・ 大滝の頭への登りは、数箇所尾根が細く急なところがあるが、問題なし。 ・ 小千丈直下の斜面は、新雪後や気温が高いときなど、不・ 安要素がある場合は絶対行くべきでない。我々のように縦走してきた場合、無理してまで登る魅力があるとは思えない。 ・ 北沢峠〜丹渓山荘は、トレ−・ スに助けられた。林道が横切・ って分かりにくい部分がある。 ・ 戸台川は「・ 全層来たらどうしよう」・ と思っていたがそれはほとんどあり得ないと行ってみて分かった。とはいえ、一応は午前中通過などの対策はとるべき。途中からダンプ道が出てきて日本の自然破壊の実態がよく分かった。 【反省】 <全体> ・ 出発が遅かった。ポ−・ ルに蝋を塗りすぎて詰まったものがあったので、薄く塗るべき。出発を急ぐ意識と、リ−・ ダ−・ の指・ 示の明確化が必要。また、今回ガスがプリムスの寒冷地用だったが、どうもEPI寒冷地用の方が気化が良いようだ。 ・ 8日に、ザイルを出すべきところを勢いで突っ込んでしまった。 ・ 計画に余裕を持たすために、行動を短めにし、実働を長く取ったが、食料計画と相俟って重量化に繋がった。一概には言えないが、実働は普通にし、予備日を長く取ったほうが軽量化=合宿前半の余裕のためにはよい。 <食料> ・ 実働日=ペミカンは間違い。軽量化の観点から、例えば9日や11日は午前中しか動いてないのだから、炊き込み御飯で充分。また、ペミカンの食いすぎは胃腸に悪い。 ・ 乾燥しいたけサイコ−・ 。でもワカメと別の袋のほうが便利が良い。 ・ レ−・ ションを無計画に購入してしまった。もっと計画的に。 ・ 砂糖が少なかった。ココアだけでなくレモネ−・ ドも欲しい。 <装備> ・ 鍋のフタが微妙にあっていなかった。事前チェックを徹底すべし。 ・ やっぱりしゃもじは必要。オタマだとうまくよそえない。 ・ プリムスよりEPIの方がいい。 ・ 布テ−・ プをもっと多めに。 ・ 張り綱がたりなかった。また、ポ−・ ルに蝋を塗りすぎるのもよくない。 ・ 竹ざおがボキボキ折れて、大滝の頭に行ったころには半分以下だった。太目のを用意すべし。 <医療> ・ 胃薬も欲しかった。 【雑感】 CL 教育学部四年 渡辺剛士 今回は「安全登山」をモット−に慎重を期したが、実働多くしすぎて重量化してしまった。とはいえ、そのおかげで全体として無理なく(なんと沈殿以外は予定通り)合宿を終えることができて、ひとまず安心。 CLとしては、統率力のなさから毎朝出発が遅れた。明確な指示を出してすばやい撤収を心がけたい。また、帯全体として馬力がなかった(「可」くらい)。今後「優」に引き上げましょう。 個人としては「屈辱の山」甲斐駒をあっさり落とし、自分の成長を感じるとともに、あの時俺をしごいた矢内さん・香川さんとの差を改めて認識した。今合宿は天気に恵まれすぎて、天候などを含めた「雪山の厳しさ」がほとんど感じられず、少し物足りなかった。五合目〜本峰、北沢峠〜大滝の頭にトレ−スがあったことも、合宿の困難さをワンランク引き下げた感がある。あんまり晴れすぎて危機対処能力が落ちるんじゃなかろうかと思ったりもしたが、晴れの方が気分良いし、善しとしなければなるまい。トレ−スも、10日の行動に関しては、もし無かったら少々厳しかっただろう(下山のトレ−スはサイコ−!もっとつけてくれ!)。米澤部長や残留OB代表の三穂野さん、残留部員代表の塩谷君・元信君、差し入れをくれた部員のみんな、ありがとうございました。 SL 理学部三年 竹之内真人 相変わらず下級生の面倒を見なかった。夏に下った黒戸尾根、長いのは分かっていたがやっぱり長かった。天候に恵まれていたとはいえ、自分らの実力に見合ったいい計画だったような気がする。来年は卒論か。合宿いけるといいな。 食料 法文学部二年 渡嘉敷唯史 オナニ−オナニ− 会計 教育学部一年 松田香樹 今回、初めて南アルプスへ来たが夏・冬と登った北アとは山容・天気が違うと思った。まず、ヤブが濃すぎイライラする。あと、冬型の気圧になると、北アは天候が悪いのに南アは晴れだった。今合宿でよかったことは冬の時よりも生活技術がうまくなった事と、自分が雨男じゃなかった事。ダメだったたところは、3日目の(*注:黒戸山の)トラバ−ス時である。CLさんとSLさんが「今日、小屋まで行けんかも」と話しているのを耳にした時、モチベ−ションが低下してしまい、5mでラッセルをやめてしまったことである。すみません。とにかく楽しかった。 |